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最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)584号 判決 1948年11月16日

主文

本件上告を棄却する。

理由

辯護人三宅正太郎上告趣意第三點について。

およそ、婦女を姦淫する爲の手段として用いた暴行の結果その婦女を死亡させたときは、姦淫行為の既遂たると未遂たるとを問わず、強姦致死罪が成立し、婦女の死亡後、これを姦するが如き行為は、右強姦致死罪の成立に何等のかかわりはない。ところで、原判示第五の事実は、まことに論旨の摘録したとおりに判示しているが、この判示はまさに強姦致死罪の事実を認定したものであって、右判示中に被告人がその場で死體を姦した旨を附記したのは、強姦致死行爲後の情況を敍述したにすぎない。この附記あるの故に、被告人のこの死姦行爲をもって右強姦致死罪の構成事実の一部を判示したものと解するは當らない。又、刑法第一九〇條に規定する死體損壞罪は、死體を物理的に損傷、毀壞する場合を云うのであって、これを姦するが如き行爲を包含しないと解すべきものであるから、原判決の右附記をもって死體損壞事実を判示したものと見ることもできない。しかも、原判決は判示事実に對する擬律において、強姦致死の點は刑法第一七七條前段第一八一條に該當する旨を説示しているので、判示事実と、この擬律とを對比してみて、そこに些かの不明な點もなく、又、何等の過誤もない。從って、原判決には、所論の如く、犯罪事実に對し罰條の適用を誤った違法の廉はない。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

以上の理由により、刑事訴訟法第四四六條に從い、主文の通り判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見によるものである。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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